物流に携わる皆さん、こんにちは!

物流業界には欠かせないシステム連携。正確な情報を荷主企業と物流会社とが共有することで、お互いの誤解やミスを極限にまで減らすソリューションの一つなのですが、実際に連携をするとなると、開始までに手間と下準備が欠かせません。ここでは、そんなシステム連携に携わる方々に向けた、「システム連携用語」を毎回5つ上げて解説しています。

 今回は、商品のデータ編です。データ連携の中でもなくてはならない商品のデータ。そして名称や内容は、荷主企業や物流会社によって微妙な違いがあるものです。今回はそんなデータの種類の中から、基礎的で重要なデータをさらに取り上げてご紹介しましょう。

 

用語:商品のデータ編

 

  • SKU(Stock Keeping Unit)

 SKUは、様々な商品を一意に識別するためのコードであり、在庫管理・商品ピッキング(取り出し)や検品、出荷や配送など一連の物流プロセスに必須の情報です。しかし、商品コードとは考え方が違います。例を挙げて解説しましょう。

 例えば、あるアパレルブランドがTシャツを販売するとします。このTシャツは異なる色やサイズがあり、それぞれ異なるバリエーションが存在します。SKUはそれぞれの異なるバリエーションに対して付けられる一意の識別子というわけです。

    • 商 品:  Tシャツ
    • 色種類:  白、黒、青、赤
    • サイズ:  S、M、L、XL

 SKUを使ってTシャツの異なるバリエーションを識別します:

    • SKU: TS-WHT-S (白色、サイズSのTシャツ)
    • SKU: TS-BLK-M (黒色、サイズMのTシャツ)
    • SKU: TS-BLU-L (青色、サイズLのTシャツ)
    • SKU: TS-RED-XL (赤色、サイズXLのTシャツ)

 これらがSKUの考え方です。
例に挙げたすべての種類で考えると、1商品×4色×4サイズ=16SKUとなります。

 これによって、異なる色とサイズのTシャツが一意に識別され、在庫管理や物流プロセスが容易になります。アパレル店舗では、これらのSKUを使用して在庫の追跡、ピッキング、在庫補充、販売データの記録などが行われます。また、アパレルブランドが新しいコレクションをリリースする際にも、新しいデザインやスタイルに対して新たなSKUを割り当てることが一般的です。これによって、顧客が特定の商品を正確に識別し、購入する際に混乱が少なくなります。

 SKUは商品の識別と在庫管理において重要な役割を果たす要素であり、異なる色やサイズの商品を効率的に管理するために活用されています。

 

  • 帳合(ちょうあい)

 帳合とは商習慣の用語で、取引や売買活動に関する記録や情報のことを指します。特に物流業界では、仕入れた荷主企業、数量などの重要な情報を在庫情報と共に記録し、その商品がどの荷主企業の保有物なのかを認識区別する役割を果たします。また、物流会社が違う荷主企業から保管を依頼された同じ商品に対して、帳合ということ言葉を用いて所有荷主を区別することがあります。

 例えば、荷主企業AとBがあるとします。各々は別の企業ですが、偶然にも物流会社Cに商品の保管と出荷を依頼しています。彼らは食品を扱う企業のため、AとBとがそれぞれ、食品メーカーDから商品(ポテトチップス)を仕入れています。
物流会社Cは、Dから入荷されるポテトチップスが、Aの仕入れた商品なのか、はたまたBの仕入れたものなのか、実際の在庫や在庫システム上で区別するために、帳合A・帳合Bとして認識します。

 

  • 在庫ステータス

 在庫ステータスとは、在庫保管されている商品が、商品マスタ上でどのような状態や状況にあるのかを指し示す情報です。例えば、ある商品が出荷可能な状態なのか、破損しているのか、欠品しているのかなどのステータスが与えられます。これによって、対象商品の在庫を正確に管理することが可能になります。

 下記のようなステータスの例が考えられます:

    • 良品:正常(=良品)な商品在庫があり、出荷が可能な状態。
    • 欠品:倉庫に在庫がなく、一時的に出荷が不可な状態。
    • 破損:商品に何らかのダメージを負っていて、製品として出荷できない状態。
    • 返品:販売先から返された商品を指し、商品の検査と次の作業が必要な状態。
    • 保留: 一部または全ての在庫が保留されていて、出荷されないようにする状態。
    • 廃番:商品の製造販売が終了となり、再入荷や通常的な出荷の予定はない状態。

 

  • 賞味期限/使用期限(日付情報)

 賞味期限や使用期限は、主に食品や薬品などの消耗品在庫に対して使用される重要な情報です。物流会社は、保管する商品で異なる日付情報の在庫を保有する場合は、古い日付順に入出荷されるように管理しています。そのためにこの情報が使用されます。入荷保管の際は、この情報と商品に記載の日付を突合し、棚に日付順に保管します。ピッキングの際は、賞味期限の近い商品を優先的に出荷するため、WMSなどで商品番号や名称だけでなく、日付も指示します。そうすることで、在庫のローテーション(先入先出)を実施し、商品の品質を維持、客先に古い商品が届くことがないようにしています。

 薬品などは、日付ではなく、専用の管理バーコード(製造年月日やロット情報も含まれる)を使用することが普通ですが、食品や酒類(ビールなど)は商品単価も安く、製造メーカー側もバーコード管理までするに及んでいません。そのため、この情報を元に、物流会社が時に人力でデータと実物の整合性をチェックして鮮度管理を行うことが必須となります。

 

  • ロット情報

 ロットとは、同一の製造プロセスで同じ時間帯に製造された一連の製品のグループを指します。これには原材料、製造日時、工場の情報などが含まれます。荷主企業や製造メーカーは、品質管理、トレーサビリティ、リコール対応や法的要件などの観点からロット情報を管理していますが、物流側でも非常に重要なデータです。
使用用途は、先の日付情報と同じですが、賞味期限や消費期限を持たない商品(例えば、アパレル商品など)では、ロット情報を使い古い商品から入出荷されるよう管理したり、ロット情報で商品を特定しピッキング・出荷することもあります。特に薬品などはロット情報の取り扱いに厳格なため、物流会社も同様にロット情報での商品管理を行う重要性が高まります。

 

 

用語集をご活用ください!

 

物流におけるデータは多岐に渡ります。その中には、とても重要で日々の物流の根幹を担うものから、果たして本当に必要なデータなのか?と疑問を持つようなものまで様々です。ただし、連携している以上、授受データには何か意味があります。連携を設計する場合には、素朴な疑問をお互いにぶつけ合って、相互理解を深めた中で進めることが重要です。そんな時にこのページをご覧いただけたら幸いです!またご質問や指摘があれば、いつでもご連絡ください!

次回も、物流業界におけるシステム連携用語を解説しますのでご期待ください!

 

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