記事公開日: 2023年8月14日  

最終記事更新日: 2023年8月14日  

 

 物流に携わる皆さん、こんにちは!

物流業界には欠かせないシステム連携。正確な情報を荷主企業と物流会社とが共有することで、お互いの誤解やミスを極限にまで減らすソリューションの一つなのですが、実際に連携をするとなると、開始までに手間と下準備が欠かせません。ここでは、そんなシステム連携に携わる方々に向けた、「システム連携用語」を毎回5つ上て解説しています。

今回は、データの種類編です。連携するといっても、どんな情報が必要で、そんな内容なのか、なかなかイメージしにくいものです。また、普段聞き慣れている用語であっても、それがなぜ物流に必要なのか、理解し難いものもあるでしょう。今回はそんなデータの種類の中から、基礎的で重要なデータを取り上げてご紹介しましょう。

 

用語:データの種類編

 

  • 商品マスタ

 商品マスタは、荷主企業が取り扱う商品に関する基本情報を一元的に管理するデータベースです。商品コード、名称、カテゴリ、属性、価格、在庫情報などが含まれ、異なる部門やシステム間で情報を統一し、物流現場における業務効率化と、荷主企業への物流品質向上に寄与します。
商品マスタは、荷主企業だけでなく物流業界でも非常に重要なデータと言えます。商品在庫管理や入荷出荷などの、全ての物流作業に必須な為で、他の情報があっても、商品マスタが共有されていなければ物流会社は何もすることができません。つまりこのデータは、物流業界におけるデータ連携の中心です。

 正確で迅速に更新される商品データは、正確で迅速で効率的な物流作業をサポートします。時に、新商品の商品マスタが荷主企業で更新されておらず、物流会社の作業が滞るということが発生します。そのような事態の解決には時間と手間が掛かり、相互にストレスがかかることとなります。コンスタントな商品マスタの更新は手間がかかることもありますが、物流サービスの向上と、相互の不要な問い合わせの削減のキーとなります。

 

  • 在庫データ

 在庫データとは、保管されている荷主企業の商品などの在庫に対する情報を指します。例えば、在庫の数量、保管場所、在庫ロット番号、在庫ステータス(状態)、消費期限や製造年月日などの様々な情報が記録されています。

 このデータは、商品マスタと同様に非常に重要な情報と言えます。在庫の数量や種類、状態を把握する情報がないと、物流会社は何を入荷・出荷すればいいか全くわからない為です。また、荷主企業も物流会社が作業した後の在庫数を正確に確実に把握する必要があります。そのため、在庫データが荷主企業と物流会社の間で共有されます。このデータが共有されることで、相互の在庫管理におけるエラーの削減、効率的な調整と計画、正確性とリアルタイム性を実現します。

 時に、物流業界では在庫データの正確な管理と追跡が重要な課題となっています。物流作業は人間の手作業がベースとなっていますが、作業のエラー削減にシステム連携は大きな役割を占めており、それは必須と言えるのです。

 

  • 予定データ

 予定データは、物事が起こる前に予定されている情報のことを指します。といっても様々なデータがあり、例えば、発注予定・入荷予定・出荷予定・販売予定・製造生産予定・配送予定など多岐に渡ります。
物流業界において、これらのデータが必要とされる理由には、様々あるのですが、主な理由と用途についてご紹介しましょう。

入荷予定データ/生産製造予定データ:倉庫に入ってくる商品の情報になります。この情報があると、物流企業での倉庫スペースや商品格納場所の計画管理、人員の確保と作業計画が容易になります。物流会社にとって、物的スペースは重要な問題の一つです。このデータがないと、商品入荷における作業が予測できず、倉庫での物的スペースに問題が生じたり、作業コストの増加につながる可能性があります。

出荷予定データ:倉庫から出荷される予定の情報です。この情報が早く共有されるほど、物流会社での作業計画に寄与する可能性が増します。その理由の一つとして、出荷計画と人員計画を立てられるためです。物流会社における人的リソースの確保と管理は、最も重要なポイントの一つです。この情報によって、迅速でよりコストメリットのある出荷作業を荷主企業に提供することが可能です。

 これらの情報は、物流企業にとっての作業効率とコストの削減に寄与するばかりでなく、荷主企業にとっての物流コスト削減と、不要な相互コミュニケーションとストレスを削減し、物流品質の提供に寄与します。ただし、あまり正確でない情報や、早すぎる情報共有は、相互での誤解を生じさせる原因にもなりかねません。情報の内容、正確性、共有タイミングなど、相互理解をした上で共有する必要があります。

 

  • 指示データ

 指示データとは、物流作業や手順を指示するデータのことを指します。これは物流担当者に対して具体的な指示や指標を提供するもので、効率的かつ正確な物流オペレーションを実現するために重要です。この情報は、入荷指示・出荷指示・在庫の変更指示・作業手順指示・配送指示などがあります。主な指示データとその用途については以下の通りです。

出荷指示データ:商品の出荷に関わる指示のデータです。その内容には、品名・出荷先・出荷数量・出荷タイミングなどが含まれます。物流会社はこの情報を元に、出荷作業を行います。その正確性と共有タイミングが、物流企業における作業の正確性と納品までのリードタイム(作業から納品までの時間)に影響を及ぼします。

在庫指示データ:在庫の数量調整やステータス変更などのデータです。例えば、商品に欠陥が発覚した場合、その在庫が誤って出荷されないように保管場所やステータスを変更を指示する場合に使用されます。こちらも情報共有のタイミングと正確性が非常に重要となり、荷主企業の顧客に対する満足度の向上、物流企業での作業性向上に影響を与える情報です。

 これらの指示データは、物流業務を円滑に遂行し、効率的かつ正確な物流オペレーションを実現するために欠かせない情報となります。共有のタイミングと正確性が、相互の信頼性と物流満足度に大きく影響します。また情報共有の方法も検討が必要で、システムエラーや端末エラーでやり取りができなかった場合のバックアップ手段も設定する必要があります。

 

  • 実績データ

 実績データとは、作業の完了後にその結果を共有したり報告したりする情報です。通常は指示データに対するレスポンスとして、一対でやり取りされることが一般的です。物流企業から荷主企業に対しての報告と情報共有の観点から共有されがちですが、その逆に荷主企業から物流企業に送信される場合もあります。これらのデータの例としては、入荷実績・出荷実績・在庫の変更実績・配送実績などがあります。主な実績データとその用途については以下の通りです。

出荷実績データ:荷主企業からの出荷指示データに対し、物流企業から出荷した実績を報告するために送信されます。荷主企業は、この情報を受け取ることによって在庫情報の更新、販売・売上情報の更新、納品書・請求書情報のベース、商品発注情報のベースとして使用することが可能になります。また、出荷指示に対して100%作業を完了したのか、現在の進捗率は何%なのかを把握することも可能になります。加えて、物流品質や物流コストの正確性判断基準になるだけでなく、相互において出荷の証明にもなります。さらに、出荷先・出荷商品・出荷単位などの出荷における情報分析にも使用可能です。

配送実績データ:主に、物流会社が自社や協力している配送会社に対して使用した配送指示データに対して、実績のデータとなります。使用する配送方法によってデータの定義は大きく異なりますが、基本的に配送の実績を証明するデータです。時に、物流会社から荷主企業に送信されることにより、荷主企業での配送状況の把握、配送費用の把握などが可能になる場合があります。このデータによって最終消費者への納品を証明する、納品書データを兼ねる場合もあります。

 これらの実績データは、主に荷主企業にとって非常に重要なデータであり、物流会社から共有される内容や正確性、タイミングを検討・追及する必要があると言えます。

 

 

データの種類は多岐にわたる!

 

物流におけるデータは多岐に渡ります。その中には、とても重要で日々の物流の根幹を担うものから、果たして本当に必要なデータなのか?と疑問を持つようなものまで様々です。ただし、連携している以上、授受データには何か意味があります。連携を設計する場合には、素朴な疑問をお互いにぶつけ合って、相互理解を深めた中で進めることが重要です。そんな時にこのページをご覧いただけたら幸いです!

次回も、物流業界におけるシステム連携の用語を解説しますのでご期待ください!

 

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