物流に携わる皆さん、こんにちは!

物流業界には欠かせないシステム連携。正確な情報を荷主企業と物流会社とが共有することで、お互いの誤解やミスを極限にまで減らすソリューションの一つなのですが、実際に連携をするとなると、開始までに手間と下準備が欠かせません。ここでは、そんなシステム連携に携わる方々に向けた、「システム連携用語」を毎回5つ上げて解説しています。

 今回は、ネットワーク編です。ネットワークといっても、聞き慣れた用語から初めて聞く用語まで様々存在します。今回はその中でも連携で欠かせない用語を解説していきます。

 

用語:ネットワーク編

 

  • オンプレミス(On-Premises)

 コンピューターシステムやソフトウェアが、組織や企業の施設内で運用されることを指します。つまり、データセンターやサーバールームなどを物流会社や荷主企業自体が所有し、管理・保守を行う環境でシステムが稼働する形態です。オンプレミス方式では、データとシステムの制御が企業内で完全に保持され、外部のクラウドプロバイダーを介さない形で運用されます。たまに、「オンプレ」と称されることもあります。

 オンプレミスのシステムは、データとシステムが組織の内部にあり、セキュリティとコントロールを高度に維持できます。特に流通・物流業界では、常に機密性の高い情報を多量に扱う必要があるため、様々なデータなど厳格に保護する必要があります。また、オンプレミス型はサーバが自社資産のためニーズに合わせてカスタマイズが可能です。さらに、内部ネットワークのため高いレスポンスとパフォーマンスを発揮し、通信速度や品質がインターネット環境に左右されないというメリットもあります。その反面、コストや費用対効果が薄い場合があります。例えば、常時の環境の監視・維持・管理が不可欠です。日々のバックアップ、BCM(事業継続管理/Business Continuity Management)の対策、さらに経年劣化によるハードウエアの管理・リプレイス、無電源装置の設置などが必要になります。一方で、クラウドコンピューティングの進化により、物流業界でもクラウド環境およびハイブリッド環境(オンプレミスとクラウドを組み合わせた環境)が選択されることも増えています。

 

  • クラウドコンピューティング(Cloud Computing)

 もうお馴染みのクラウドという用語ですが、これはインターネットを通じてリモートサーバー上のコンピューターリソース(ハードウェア、ソフトウェア、データストレージなど)にアクセスし、それらのリソースを利用するコンピューティングモデルの名称です。ユーザーは、自分たちのコンピューターに必要なリソースを持つ代わりに、クラウドプロバイダー(Amazon Web Services、Microsoft Azure、Google Cloud Platformなど)から必要なリソースをリクエストして利用します。

 物流業界でもクラウドコンピューティングは幅広く活用されており、物流プロセスを効率化し、効果的に管理するための重要な要素となっています。物流システムにおけるクラウドの役割と利点は、データの中央集約と共有が可能になり、容量を柔軟にスケーリングできるため、必要に応じてサーバの容量や必要回線数などを変更することができます。またクラウドを使用することで物流プロセス全体をリアルタイムでモニタリングし、ビッグデータとしてまたAIを活用してデータを分析も可能となります。さらに、ハードウェアの購入やメンテナンスにかかるコストを削減でき、データのセキュリティとバックアップが確保され、さらにモビリティに適しており、モバイルデバイスからアクセスできるため、フィールドでの作業やドライバーのトラッキングなどのタスクを効率的に実行できるというメリットがあります。そのため、昨今の物流システムはオンプレミスからクラウド型(またはハイブリッド型)に移行されつつあります。

 

  • ハイブリッドクラウド(Hybrid Cloud Computing)

 オンプレミス環境とクラウド環境を統合したものの名称で、両方の環境を同時に利用することができる環境を指します。特定のデータやアプリケーションをオンプレミスからクラウドに移行したり、逆に戻したりできます。それにより、特定の情報はオンプレミスで保護してスピードを確保し、クラウドには低頻度更新で共有すべき情報を保管するなどが可能です。また、クラウドからオンプレミスにバックアップを保管することも考えられるでしょう。

 ハイブリッドクラウドは、組織にとってデータのセキュリティとプライバシーを保護しながら、クラウドの柔軟性とスケーラビリティを利用できる選択肢を提供します。一方、一部のアプリケーションやデータはオンプレミスに保管され、他のアプリケーションやデータはクラウドに移動され、それらを連携させて利用できます。ハイブリッドクラウドは、異なる要件とニーズに対応するために非常に有用であり、複雑に連携させる物流システムの構築には欠かせない存在となっています。

 

  • スタンドアローン型(Standalone)

 スタンドアローン型とは、単体で独立して動作するシステムやアプリケーションを指します。これは、外部との連携を必要とせず、自己完結型のシステムです。スタンドアローンの物流システムは特定の機能や業務プロセスをサポートするために利用されることがあります。
例えば、倉庫内での簡単な在庫管理を行うための専用のスタンドアローンシステムが考えられます。このシステムでは、限られた数の商品や、商品マスタの不要な商品の受入れ、保管、ピッキング、出荷などを管理することが可能です。市販のデータベースソフトや表計算ソフトで代用される場合もスタンドアロンといえます。

 小規模でシステム連携が特に不要な場合は、スタンドアロン型にすることでコストを最小限に抑え、シンプルかつ効率的な運用が可能になります。また定期的な商品マスタなどの情報更新は必要な場合でも、ネットワークに接続せず、それらのデータをメールなどで受信しシステムで読み込ませるなど、手動的同期によって解決できる場合がほとんどです。

 

  • ネットワーク型(Network)

 ネットワーク型とは、複数のシステムやアプリケーションが相互に連携してデータや情報を共有する状態を指します。昨今の物流業界においては、さまざまな部門や拠点間でデータを共有し、効率的な業務プロセスを実現するためにネットワークが構築されます。大規模で高頻度のデータ更新や共有が必要な場合は、ネットワーク型が採用されます。その分のコストや維持管理、セキュリティに注意を払う必要がありますが、実現できることは格段に増えるでしょう。またネットワーク型は、荷主企業はリアルタイムまたは高頻度で物流システムと連携できるため、物流会社の作業進捗や結果、商品の状況などを正確かつ瞬時に確認できることにもつながります。

 

 

用語集をご活用ください!

 

物流におけるデータは多岐に渡ります。その中には、とても重要で日々の物流の根幹を担うものから、果たして本当に必要なデータなのか?と疑問を持つようなものまで様々です。ただし、連携している以上、授受データには何か意味があります。連携を設計する場合には、素朴な疑問をお互いにぶつけ合って、相互理解を深めた中で進めることが重要です。そんな時にこのページをご覧いただけたら幸いです!またご質問や指摘があれば、いつでもご連絡ください!

次回も、物流業界におけるシステム連携用語を解説しますのでご期待ください!

 

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