システム連携用語5:データの種類編2
物流に携わる皆さん、こんにちは!
物流業界には欠かせないシステム連携。正確な情報を荷主企業と物流会社とが共有することで、お互いの誤解やミスを極限にまで減らすソリューションの一つなのですが、実際に連携をするとなると、開始までに手間と下準備が欠かせません。ここでは、そんなシステム連携に携わる方々に向けた、「システム連携用語」を毎回5つ上て解説しています。
今回は、前回に引き続いてデータの種類編2です。データ連携で使用されるデータの種類は様々です。そして名称や内容は、荷主企業や物流会社によって微妙な違いがあるものです。今回はそんなデータの種類の中から、概念的で広範囲に捉えられるような情報について、事例を交えてご紹介しましょう。
用語:データの種類編
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予測データ
予測データは、未来の作業や予定を把握するために重要なデータとして活用されています。前回ご紹介した「予定データ」との違いは、これらのデータ値が確定したものか否かです。予定データは一定の予定や計画に基づいていますが、予測データはそうではなく、内容も不確実です。また、システム的に連携される物とは別に、都度メールなどで共有される場合もあります。その内容が不確実で秘匿性がある可能性があるからです。
物流業界では不確実な予定でも重要なデータとして活用されています。その具体的な例と理由は以下の通りです。商品予測データ: 商品の需要を未来に向けて予測するデータです。主に荷主企業における予算案や生産、仕入予測などが該当するでしょう。荷主企業から物流会社に提供されることが多く、これによって物流会社は中長期的な計画、具体的には在庫計画の作成、倉庫レイアウトや保管スペースの計画、商品荷動きや人員確保の計画、トラックなどの配送計画、さらには彼らの予算案のベースになります。
販売予測データ: 商品予測データと似ていますが、いつどのような商品が出荷(販売)されるかに限定したデータです。その情報は荷主企業だけでなく、物流会社にも非常に重要です。商品の入荷や在庫も重要ですが、物流会社にとって一番気を使う瞬間は出荷です。入荷や保管以上に予測ができないにもかかわらず、決まった時間までに正確に商品を出荷しなければいけないからです。物流会社は、「出荷計画データ」の前にこの販売予測データを受け取ることを要望する場合があります。特に作業に時間がかかったり、予測が困難な出荷形態の商品を扱う場合です。この情報により、物流会社は商品荷動を事前に予測し、荷主企業との約束を厳守するために人員確保を計画し、輸送手段の確保などを行います。
リードタイム予測データ: このデータは、商品が注文から顧客に届くまでの時間を見積もるためのデータです。特に物流会社や配送会社が作成し、荷主企業に共有することが多いでしょう。これにより、各納品先に対する納期を正確に予測することが可能になり、ECサイトなどでの配送予定日時などに反映されることがあります。
これらの予測データは、それぞれのシステム上で機械学習やデータ分析され、物流業界の効率化やサービス品質の向上に貢献しています。また、これらのデータが荷主企業にとっての物流費用を左右すると言っても過言ではありません。
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発注情報
発注情報とは、「予測データ」や「予定データ」と似ているように思えますが、これらの情報とは違いがあります。この情報には、どのような商品が、いつ、どこから、どれだけ、どのように、物流会社に入荷されるのかが明確に示されています。また「予定データ」は情報が大まかなイメージのため、これらの具体的で詳細なデータとはことにします。そのため発注情報は、荷主企業における都度の商品ごとの発注に対する詳細な情報と言えるでしょう。具体的には発注先、商品詳細(品名や数量、重量、荷姿、JAN/ITFコードなど)、単価(原価売価)、ロット情報、在庫ステータスなどが含まれています。これらの情報は確定的なもので「予定」でも「予測」でもありません。
荷主企業や物流会社は、これらの情報を元に入荷予定データを生成したり、在庫予定データを作成します。特に商品の入荷チェック(入荷検品)に使用されることが多く、自動でIFTコードから商品を、ハンディーターミナルやスキャナで個数を数え、発注情報と突合します。
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配送データ
この情報には、様々な情報が含まれますが、主には物流会社から最終納品先に納品されるまでの情報が含まれます。または、荷主企業が発注した商品が物流会社に入荷されるまでの配送過程を指すこともあります。
これらは一般的に物流プロセスの監視、最適化、分析を行うために収集される情報を指します。下記のようなデータが様々な目的で使用されています。
配送情報: 配送される商品の詳細情報、出発地と到着地(顧客情報)、輸送手段、出発到着日時、トラッキング情報:(送り状番号など)のデータ。
交通情報: 道路や交通状況のデータ。これによって輸送ルートの最適化や運送スケジュールの調整が行われます。
配送コスト情報: 配送にかかる費用などのデータ。
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顧客情報データ
最終納品先の顧客に関する情報を指します。商品の販売元である荷主企業が、商品の輸送のために物流会社に共有する必要不可欠な情報です。必要とされる具体的な情報は下記のとおりです。
配送先情報: 商品や荷物を配送するための情報で、住所や配送先の詳細が含まれます。正確な配送先情報は効率的な配送プロセスのために欠かせません。
注文履歴: 過去の注文や取引履歴に関する情報で、顧客の購買傾向や需要予測のためでなく、物流会社でも特定顧客の出荷納品の際に活用されます。例えば、特定顧客に対する物流上の特定事項の把握などです。
支払情報: 顧客の支払方法やクレジットカード情報などのデータ。請求や支払い処理に関わる際に重要です。物流企業では支払いが完了したか否かが必要になります。支払いが完了していない顧客に商品を輸送することが可能か否かを判断する場合に必要で、ECなどでは頻繁に活用されています。
顧客要望: 顧客からの特別な要望や指示に関する情報。商品の取り扱いや配送方法などに活用されます。
顧客情報データは、プライバシー保護とセキュリティに配慮しながら共有されるべき情報です。また、一見すると物流作業には無関係と思える情報でも、必要不可欠なものがあります。反対に、必要かもしれないと共有したデータが不必要であることもあります。また、ECサイトの運営から委託しているなどの場合は、荷主企業と完全に同じ情報が提供・共有されています。
これらの情報を連携・提供する際は、不必要な個人情報の共有は避け、個人情報取扱における指針や保護ポリシー、契約上の決まりなどをしっかりと整備する必要があります。そのために、荷主企業はどのデータが必要最低限で、それらはどこに、どのように保護・処理・保存されるのかなど、正確に把握し、時には監査を行う必要があるでしょう。
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過去データ
過去データとは、過去に行われた物流行為や取引に関する情報を指します。前回ご紹介した「実績データ」と、基本的には同様のものを指します。しかし、これには物流企業が保有できない、またはしていない情報も含みます。例えば、去年に荷主企業が物流会社をA社からB社に変更した場合、B社にはA社が保有していた過去の実績データがありません。これらが過去データと定義できます。また、荷主企業しか保有できない過去のデータもあるでしょう。
荷主企業と物流会社とが過去の情報を共有する理由には様々ありますが、相互に現状や将来の物流効率の向上、コストの最適化と無駄の削減、次期の計画立案など様々です。特に過去データを連携すると、機械学習を含めた物流作業の効率化につがなる可能性が高まります。しかし、過去のデータには現在や将来の活動に有益とならない場合もあります。例えば廃盤になった商品の情報、もう行われない活動の情報などです。また、個人情報と同様、セキュリティは注意されるべきです。これらの情報を共有する際には、相互に注意事項があることを理解する必要があります。
用語集をご活用ください!
物流におけるデータは多岐に渡ります。その中には、とても重要で日々の物流の根幹を担うものから、果たして本当に必要なデータなのか?と疑問を持つようなものまで様々です。ただし、連携している以上、授受データには何か意味があります。連携を設計する場合には、素朴な疑問をお互いにぶつけ合って、相互理解を深めた中で進めることが重要です。そんな時にこのページをご覧いただけたら幸いです!またご質問や指摘があれば、いつでもご連絡ください!
次回も、物流業界におけるシステム連携用語を解説しますのでご期待ください!
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